拉致

ニコニコ堂喜久屋でおはぎとかんぴょう巻を買って郊外の家にゆく。ニコニコ堂喜久屋のかんぴょう巻は口に運ぶと思っていたより旨いこと常である。散歩をするにはうってつけの天気で、そういう気ままな日曜日というものがあれば、会社勤めも悪くなかった。しかし郊外では既に金木犀が薫っており、それはそれで平和である。

ここは郊外の家に来てから四日でなついたのに、主が留守をしていじけてしまった。居間に続く主の寝台の下を「陣地」ときめ、そこにいるか出張ってひたすら鳴くかである。夜中の居間はするに任せることにしたが、仏壇のお仏飯を食べた。バチがあたるのではないかと心配である。
翌晩閉めたが、ごはんを載せる皿だけとり出して食べた。ごはんが好きなのかもしれない。電気ポットをつないであるコンセントも抜いたのである。感電するのではないかと心配である。

陣地にいるところを拉致して郊外の主に引き渡すと、ゴロゴロと愛らしく甘えて何時間も膝の上で眠り、その結果親きょうだいをしのんで鳴いたりもしないのであるが、しかしなぜか自主的に登場しない。チビのくせをして、なかなか見上げた根性である。

タイガース再び快勝。いいぞ藤本。渡辺俊介『アンダースロー論』読了。