東京brary日乗

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小正月

brary2007-01-15

郊外からの帰り、根津神社にお礼参りにゆく。今日は小正月である。権現様にはかわいい破魔矢があるのだが、もうなかった。人影もまばらである。正午には少し早いが、今日もうらうらとよい日和なので、さきほど千駄木で買った「いそ貝」のいなり寿司とのり巻を境内でたのしく食べることにした。
いそ貝は、この急変著しい不忍通りで未だ健在ないなり寿司とのり巻の専門店であって、しもた家を維持している。積極的に商売をするという風でないので入りづらいが、入ればメニューは二つしかないから簡単であり、いずれも60円である。
いなり寿司は甘く濃い味付けなので、好みとすればニコニコ堂喜久乃家に軍配をあげねばならぬが、かんぴょう巻の方は海苔からはみだした米粒がつやつやとしていかにも旨そうである。そして現実は、たとえようもなくおいしいのであった。ニコニコ堂喜久乃家に匹敵する。24円安いのと、はみだしたごはん粒の分、優勢かもしれない。三本買ったので、一本食べてまだ二本ある。思わず頬が緩む。頭に渦巻くものもなく、お天気のよい権現様の境内で、日中実に旨いかんぴょう巻に舌鼓を打つしあわせ。あー、濃いお茶が一杯こわい。


○生協にて
京須偕充『落語で江戸のうらおもて』ちくま文庫
滝田ゆう『寺町町奇譚』ちくま文庫
『本』一月号