東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

ブラン

朝起きると熱は下がっていた。寝汗をかいたので布団を干し、洗濯をしておとなしくすごす。一昨日大量に五目豆を炊いてしまったが食べられないので、小分けにして冷凍す。昨日談春が出た「ずんずん落語」をポッドキャスティングで聞き直したら、本放送よりだいぶ長かった。
『寄席育ち』は噺家の自伝としては古典だが、改めて明治の人であることを考える。円朝、三代目小さんというような人々も、円生にとってはリアルである。自分にとっては円生はりアルなので、たいへんふしぎ。しかし吹き出すのはやはり満洲における下記のようなエピソードであった。

夜中の二時も過ぎたころに大きな音がする。目がさめたら小さな声で「松ッちゃん、松ッちゃん」「え?」「階下へはいったらしいよ、ロスケが」「そりゃ大変だ」(中略)歩くとね、みしッみしッて音がする。「歩いちゃいけねえ、歩いちゃいけねえ」って志ん生が言うんですよ。そのうちにね、かちかちん、かちかちん、て音がする。「何をしてるんだい」「今ね、ブランを出してる」「馬鹿野郎ッ、この最中に酒ェ飲んでるやつがあるか」「飲んでるんじゃないよ。ロスケが上がってきたらね、こいつをむこうへ飲ましてね、(ポンと手を拍って)よいしょッ・・・・・・」(三遊亭円生『寄席育ち』青蛙房

志ん生の名は、あの志ん朝が継がなかったことによって余程大きくなったのである。