東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

心の調べ

竹馬の友のご母堂が他界なさったので、お焼香にゆく。はじめてお目にかかったのは6歳の冬の日で、のちに竹馬の友となる新たな友は、わたしと同じように手編みの毛糸の帽子をかぶり、お母様と手をつないで歩いていた。通夜の会場となったのは、おいしい手料理やケーキを何度もご馳走になった、なつかしい居間であった。電話台のそばにあるメモも、台所の棚にあるボウルも、亡くなった方の日常であった。
眼鏡をかけていらっしゃらないお顔を初めて拝見した。声楽をしていらしたお母様は、美しいソプラノでいつもゆったりと話しかけてくださるのだった。真新しいご位牌には、調心という文字が刻まれていた。