東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

初コミケ

コミックマーケットを偵察にゆく。
世は出版危機なので、今朝の朝日新聞にもいつもと同じ記事が出ている(なぜいつも同じなのに度々「取材」するのかわからない)が、東京ビッグサイトには全国から40万人もの人が飛行機やフェリーや夜行バスに乗って本を買いに来る。
もう30年もやっているのにいまさらだが、これはぜひ行かずばなるまいと思っていた。事前に公式ホームページなどで調べると、朝は五時間も待つから初めての人は昼から来なさいと書いてあるのでそうした。五時間もアスファルト埋立地にいたら熱中症確実。しかし、そうまでして買いたい本のある人々がいる。


Tシャツにチノパン、コンバースはよいとして、サンバイザーとサングラスをつけて首に豆しぼりを巻き、キャディさんのコスプレのような装いで自転車に乗る。晴海大橋を渡るとき、最近ギックリ腰だったのを思い出した(帰りは東雲経由にした)。


どこをみても、ビッグサイトのどこでやっているのかわからなかったが、全部でやっているのであった。今までさまざまなコンベンションに行っているが、全部でやっているのをはじめてみた。とりあえず自転車置き場のあるところに入ってみたが、あれほど膨大な数の人をみたことはないかもしれない。通路を限っているからかもしれぬが、コンコースの吹き抜けのエスカレーターに異常な数の人が乗っていて、人のいないところを探せない。気分が不確かなときにきたらパニックを起すと思われた。


こわかったので、たとえば阪神甲子園球場付近の人波と比較してなぜこわいのか考えてみた。

①門外漢だから(甲子園は当事者だからこわくない)。
②ほぼ似た年恰好の人々ばかりだから。

たぶん、わたしはコミケの人が売ったり買ったりしている本の内容がわからないし、そのためになぜこの人たちがこんなに集まるのかわからないからこわいのだが、彼らが特殊でないことは自明である。わたしは北半球しか知らないのである。特殊なのはわたしである。人気のあるサークルには人だかりがしていて、立派な装丁の本に2000円の値がついている。コミケはおたくの溜まり場ではなくて、最もシンプルな形で本を作る人と買う人が集う市場である。


声をかけて展示の写真を撮らせてもらい、「トナーがはがれやすいので気をつけ」なければならない素朴なコピー誌と、非常に上手な絵のカラー表紙がついたものを購入して早々に帰るが、コミケは大変興味深かったのでこれからよく考えることにした。


帰って蛍光灯をとりかえ、元相棒(男子33歳)とビールを飲むため東京駅に出る。