東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

サイレント・アニメーション

昨夜は悲しみを忘れるために、難解な文章を読むことにした。難解でもわかるようになった気がしたが、少し席を離れてまた読むと、だいぶたってから既に読んだ箇所だったことに気づくようなわかり方にすぎない。しかし悲しみは忘れた。
読んでいたものには、「人間は忘れる」「機械の記憶装置は忘れない」ということについて書いてあった。


昨日古石場図書館で、「古石場文化センターまつり」の宣伝をしていて、さまざまな文化的催しの中に「懐かしのアニメ上映会」というものがある。それらは、戦前と終戦直後に作られたものがほとんどで、「懐かしい」と感じる人はもはや限られている。ほとんどの人には未知だから、もっと希少価値を出せばいいのに。しかも、その紹介ビデオというものをロビーでやっていて、「オール」というマークが画面に出ている。
紹介というより、もうそこで上映していた。しかし、そういうところでただ流しているので、映っているものは珍しいものなのに、放置されているから一人で見た。
ちゃんばらとスポーツが多く、一編は短いもので3分ぐらいである。


オリンピックらしきものは、日の丸をつけた少年が身体に空気を入れて一等になったり、怪しい錠剤を飲んで棒高跳びで優勝したりした。今ならドーピングで失格になる。
そして、なぜか観客にベティちゃんとミッキーがいて、著作権を侵害している。


最も気に入ったのは「泳げ、泳げ」(不確か)というアニメーションで、カナヅチのさるが水泳大会に出る。競争相手はカバ、ワニ、アヒルなど(もうひとつ謎の生物)。さるは練習するが泳げないのでたちまち沈むが、そこには河童がいた。河童と争っているうちにお皿をとってしまい、返す代わりに河童に乗せてもらって優勝するのだった。
そこはプールなのに水底には魚や海藻があって、河童がいるのが謎ではある。
絵もかわいいが、困ったときやふしぎなときにフキダシで「?」が出るのと、審判の声がメガホンからひゅるひゅると出てくるのが何ともいえないインパクトであった。
そして、弁士は澤登翠先生なのであった。