東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

荻窪風土記

夕方、荻窪までお悔やみにゆく。今日は東京湾の花火なので、さまざまな浴衣を着た人々とちょうどすれ違う。文庫にレースをかけたりするのがはやっているらしい。男子の浴衣もみるが、ズボンはずり下げるのに、帯はウエスト位置に締めるから、X状になっている。男の着物は腹の下に帯を締めるのが正しい。


荻窪には子どものとき7年ばかり住んでいた。1800円の白いウクレレは公会堂近くの新星堂で、1万円のギターは南口の楽器屋で買ってもらった。
しかし数十年ぶりに降りた荻窪駅の北口は、想像をはるかに超えた変わらなさに驚く。駅は相変わらず階段をのぼって出るのだし、出てすぐ右側には焼き鳥屋がある。その隣には大きな果物屋がある。荻窪北口は、天沼陸橋に至る手前の青梅街道をメインストリートにして、両サイドに小さな商店街がいくつかある。井伏鱒二邸に近い教会通り、雑誌を配達してくれる書店と丸十パン店のあったことぶき通りなど。
驚くべきはそのひとつ、荻窪北口商店街と線路沿いに続く短いアーケードの商店街が、ほぼそっくりそのまま残っていたことである。店の構成はやや変わっているものの、北口駅前の一等地に金物屋がまだある。


駅を出て左側に闇市の名残としてあったマーケットはとうにビルの中に入り、青梅街道沿いはチェーン店が進出した(かつてあった徳川夢声の家の木戸も当然ながらない)が、枝葉はしぶとい。しかしお悔やみなので、散策は日を改めて帰る。