東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

きっぷについて

昨日。家の前を歩いていると、後ろから男の話し声がする。ちらと振り返ると職人風の二人連れで、背の低い、すこしおとなしそうな方の人は何か面白くないことがあったらしい。背の高い方の人が怒っていて、すばらしい啖呵をきっている。啖呵のしまいに「って言ってやれよ!」がついたので、背の低い方の人に何か筋の通らないことをした人物を怒っているとわかる。
その啖呵を再現できないが、たとえば「この野郎」のように「ら」行が入るとき、見事なトレモロになる。口跡のいいのと、人のことを怒っているうちに自分が本気になってしまう展開が、落語の『大工調べ』にそっくりである。『大工調べ』の場合、あまり賢くない与太郎は棟梁の勢いについていってしまうが、私の後ろを歩いている背の低い方の人は、相棒が本気で怒ってくれたので笑って、しまいにはふたりともあははと笑った。