東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

江戸の歯医者

予定を手帳に書く、という習慣が会社づとめをやめてからなくなった。手帳は使っているが、そのころの二割も機能していない。約束やイベントがインターネット経由で知らされるせいも大いにある。歯医者の次の予約がいつだったか記憶にないので、手帳を見たら今日だった。手帳を見てよかった。
歯医者は、江戸の内外のさかいめにあって、もう三年あまり通っている。歯はすでに治っているが、月に一回は行ってクリーニング指導を受ける。受付の方は絶妙な間合いで、声色はのんびりしているのにそつがない。先生は常に歯のことを憂いて、人生相談のようである。歯科衛生士の方々はみなかわいらしく技術が高い。
交差点に面した二階の部屋には大きな窓がとられていて、診察台を倒すと目の前にスカイラインが広がる。うすぐもりの日はぼんやりした明るいグレイになり、雪の日はスノードームのように雪がとおりすぎる。今日は抜けるような秋の青が、スカっとした長方形に切り取られてしばし見とれた。