東京brary日乗

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乱歩の力

『探偵小説四十年』が面白いので、学校に行ったついでに生協に買いに行くと、光文社文庫そのものがなかった。最近レイアウトを変えて、文庫を大幅に縮小して非常につまらない。腹が立ったが注文した。
乱歩は最初の作品を世に出すのに、最初馬場狐蝶に原稿を送って返事がないから「返せ」と手紙を出して返さす。馬場は本当に忙しかったのだが、また送るわけにもいかず。次いで博文館の森下雨村に出すが、当時翻訳物ばかり載せていた『新青年』でなければ駄目だ、外国作品に劣るならば返せと手紙の口調はなかなか強気である。宇野浩二を敬愛しているのに旅と言わせて居留守を使い、宇野に真実を詫びるため旅に出たりして、一体乱歩は大胆なのか小心なのかよくわからなくて面白い。しかしなぜ面白いかといえば、内容もさながら、文章が断然上手いのである。どんどん読ませるのである。文庫上下巻9センチだが、先が苦にならないのはさすがの筆力。

江戸川乱歩全集 第28巻 探偵小説四十年(上) (光文社文庫)

江戸川乱歩全集 第28巻 探偵小説四十年(上) (光文社文庫)


業務後帰宅して、大好物であるところの若竹煮をつくる。筍もわかめも新物で実に美味。たまたま白ワインが冷えていたので堪能した。「ドキュメンタリーは嘘をつく」をみる。ドキュメンタリーはフィクションである、というテーマを聞けば驚かないかもしれないが、番組自体は驚く。タイガース、またも勝ちゲームを逃す。