東京brary日乗

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ちがっちゃってるじゃない

飛行機で北摂に行く。
機中にて「月刊百科」を読む。林光おたまじゃくし放浪記は、「舞台稽古大荒れのこと・『ちがっちゃってるじゃない』のこと」である。この連載を今までとばしていたが、「ちがっちゃってるじゃない」という平仮名の日本語が活字になっているのを初めて目にして、強い破綻を思ったので読んだ。
日生劇場のことが書いてある。日生劇場浅利慶太石原慎太郎の肝煎りでできた。杮落としの脚本は花田清輝で、皆でつくる芝居というものを理解しない花田への疲労した想い出が綴られている。

ずっとあとになって、花田さんが提唱した「共同作業」ということばの、なんと虚しくひびいたことか。文庫化された花田さんの批評的著書は今でも座右にあり、そこから多くを得ているけれど。

「ちがっちゃってるじゃない」は福田義之による「オッペケケ節」という芝居の台詞で、60年代初頭の新劇に対する批判であると林光は書いている。
月刊百科 http://www.heibonsha.co.jp/gekkan_hyakka/