東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

若旦那の講釈

午前中、『桂馬の高跳び』を読む。二代目神田山陽は、戦前主にアジアを市場にした、日本で有数の書籍卸商の若旦那であった。家は御殿山に200坪。堅い両親に似ず、道楽浪費が尋常でない。ダンスに凝って、教室を開いてもらうが失敗。客の絶えた釈場を普請して、自分も一席。
しかし吉原、柳橋の豪遊はそれらと桁違いだったというから、旦那遊びはほんとに金がかかったのである。格差社会と言わずして何と。


戦後は身代ゼロとなり、寄席の楽屋で出会った色物芸人は、その昔毎夜連れ回した幇間である。「若旦那には、その節大変お世話になりまして。」講釈師だが、その素性は落語そのもので驚く。