東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

京橋図書館かなりいい話

京橋図書館の地域資料室にいると、ベテランの男性司書(学芸員かもしれない)の人が熱心に古地図や文献を調べている。京橋図書館は資料館としてもすぐれていて、コレクションを貸し出したり、資料をいくつも刊行している。そういう用事にみえたのだが、しばらくして依頼主が現れたので、レファレンスであることがわかった。
依頼主は、小学一年の、そら豆のような顔をしたかわいい坊やであった。彼は夏休みの自由研究で、「中央区役所はなぜそこ(新富町)にあるのか」を調べるために図書館にやってきた。


司書の人は同伴のお母さんに、そこが元武家地であったことや、度重なる火災で移転したことなどを説明しているが、肝心の本人の疑問に答えられていないと考えている。難題である。汗を拭いている。しかし難しい話に首をかしげながら、短い緑色の鉛筆を握った少年は聴いている。
結論としては、お母さんが出した助け舟(「月島にもたくさん人がいるし、銀座や日本橋がにぎやかなのにどうして新富町なの?と思っているようだ」)に沿って、「銀座はまだ場末だった。日本橋は商人の町だった。最初に役所がこのあたりに置かれた」ほか多くの興味深い説明がなされた。少年は大変きちんとお礼をのべて資料室を後にした。