東京brary日乗

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本を拾う

brary2006-11-07

既に暗くなった夕方、駅の地下出入口にあるスーパーで買物をしてエスカレーターで表に出ると、目の前に本が捨ててあった。なぜ捨ててあったと断言できるかといえば、ゴミ集積場に紐で縛って「資源回収」のシールも貼って置いてあったからである。しかし量が半端ではない。本棚二本分ぐらいある。しかもきれいで、ほとんどハードカバー。90年前後ぐらいの日本の小説が多いが、マリ・クレール(当時の)や新潮のバックナンバーもある。写真集のようなものもある。これは「蔵書」である。本人が捨てたと思われない。畳半畳ぐらいに積み上げてあって、古本屋に売れば充分流通できる内容である。「資源」にするには忍びない。


今日、朝から各方面の図書館や資料室をはしごして集めた本が十冊ぐらい入った鞄と紙袋と食料品をぶら下げて立ち尽くしていると、同じぐらいの年齢の女の人が自転車を停めて嘆息した。通り過ぎたが気になって戻ってきた由。縛ってあるのを崩してはいけないが、表面に出ているところから二冊抜かせていただいて帰る。右はほとんど新品。左は陣内秀信『東京』(文藝春秋)。