東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

晴れた日に目をとじる

学校の図書館に行ったら、閉館日明けで新学期間近というのにいやにすいている。そしてあまり涼しくない。すいているのはいいが、エレベーターの貼り紙で相関関係を知る。図書館は、9月21日をもって冷房を停止していた。今日は30度ある。
最近学業を再開するまで冷房の効いた教室で学んだことはないが、図書館は唯一涼しいところときまっていた。ために、自習室に通ったりしていた。ということを、冷房に慣れた今日まで忘れていた。最上階の広々とした閲覧室もすいていて、全開になっている窓際のひとり用の席にすわると、十代の夏休み前後の教室の、ダルな感じが甦る。


日当たりのよい席で生あたたかい風に吹かれて、ついうとうとするのでしばらく眼を閉じてみた。戸外の匂いがして、いろいろな音がきこえる。もうすぐ日程を折り返してしまう、夏休みの海辺の午後のようだ。天気の日に、屋外を感じる場所で眼をとじる、というのは休みの日にのみ許される贅沢なのだった。
昨日『暮らしの手帖』に佐藤雅彦が書いていたことを思い出す。彼は仕事の合間に横になれるソファベッドを特注しているが、横になるときも仕事場の節度を守って灯りを消さない。しかしある夜、仮眠から目覚めると辺りが暗い。スタッフが気を利かせて電気を消してくれたのだが、「明るいのに眼を覆って無理に眠っている」という気持ちをもっていて損な気がした、云々。


話はまだ展開するが、日ざしの中でわざと眼をとじてみるのはそのちょうど反対であるにもかかわらず、眼を開けて曇っていたら、別の損な気持ちがするだろう。そして、仕事をしていても屋外に接する機会があれば、5分ぐらいは眼を閉じることも可能である。
しかし本を読むには不適だったから、2冊ばかりざっと目を通したところで図書館は出た。