東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

金原亭のポートレート

元は体育の日だった日。祝日をむやみに連休にしてつまらない。
午前中、夏学期にお世話になったよそのゼミの授業に行くと、意外にも歓迎していただけた。気をよくして、授業でつかうアメリカの本を探しに丸善までとばすがなかった。アマゾンで注文。


『談志絶倒昭和落語家伝』の写真はほんとうによい。そもそも、田島さんという方が撮り溜めていた写真が発見されたことによってこの本は生まれたわけだが、みたことのないようなポートレートばかりである。撮った人が特別だったのか、そのときの寄席や落語家と人びととの間にある空気が現代と違うのかのどちらかである。または両方。
先代金原亭馬生師匠の写真が最も多い。常ならば渋いポジションにとどまる師匠だが、この本のなかではメインを飾る。サイン本にしてもらったのは、そのためであった。馬生師匠は放蕩親父と王子様のような弟の間で苦労をしているのに、芸も姿もきれいで、いやなところがひとつもない。初めのうちよさがわからずにいて、イイノホールで気づいてから師匠が亡くなるまでの時間はわずかしか残されていなかった。早世した人は、いつまでも惜しまれる。