東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

左様?

バスに乗って、小岩まで本を読みにゆく。
バスの隣にはシニアの婦人が3人いて、私のすぐ隣にいる人は最近都内にできたショッピングセンターをほぼ制覇していることがわかった。先日はマロニエゲートに行ったらしい。その隣にいる人は、99円ショップは本当は税込104円であり、砂町銀座などもそうであることについて批判的に述べた。


江戸川文化センター前でバスを降りると、カウント・ベイシー楽団のポスターがあった。カウント・ベイシーはとっくに死んでいるが、カウント・ベイシー楽団は健在で、小岩まで演奏に来る。江戸川文化センターは、吉右衛門が歌舞伎(忠臣蔵)をしたりもしていて、本格的なホールなのだった。
向かいにある中央図書館も負けずに立派。閲覧室は少ないから、蔵書中心の中央館と思われるが、人はあまりいないくて勿体ないくらいである。いずれにしても、目的の本が今すぐ読める状態の図書館はほかになかったので、わたしとしては江戸川区民の人に感謝せねばならない。


意外に早く内容を把握できたので、またバスに乗って両国まで帰り、江戸博で漱石展を見ることにした。
東北大学漱石文庫の蔵書、自筆原稿、メモ、手帳、書簡などが豊富に公開されていて、実に見ごたえがある。漱石は教員生活を好いていなかったという印象があるが、まじめによく勉強し、講義ノートも丁寧に作っている。蔵書のほとんどは洋書なのであり、そのすべてに詳細な書き込みがなされている。ことに、"History of Intellectual Development"という本の一節に疑問があったとみえ、米つぶくらいの字で「左様?」と書かれてあるのにしびれた。


ここもシニアの人で賑わっているが、津田青風の書いた漱石山房の絵を見ていた婦人は、そこにソテツが描かれているので自宅のソテツを思い出した。ソテツは子分けをできるらしいので植えないか、と熱心に同行の婦人を説得している。
ちゃんとした図録がほしいのに、主催者の朝日新聞社の本で代用しているのはいんちきな気がするが、開催費用が売上から補填されるのかしら。