ハンドバッグ
秋晴れ。郊外の家で、ハンドバッグの虫干しを行う。近年は万民が大荷物傾向、カジュアル化傾向にあり、ハンドバッグというものはすっかり廃れている。
その上郊外の主はロマン主義であり(反動でわたしは機能主義となった)、実用的なバッグは使い倒して処分しているので、しまってあるのは上等だったり、ほとんど物が入らないお洒落バッグばかりである。
よく拭いて、口をあけてベランダに干したら、ベランダが質屋のようになった。
詰め物を作り直したり箱を修繕したり、防虫剤を入れたりして再び収納す。「まだある」と言うのできものの箪笥を見たら、見慣れないクラシックなフォーマルバッグが出てきた。15センチ四方ぐらいしかなくて、口金に細工がしてある。
郊外の主によれば、曾祖母の品である由。