平成の道具屋
午後、道具屋が来る。
大変お世話になっている叔父が以前呼んだことがあって、ものすごく感じが悪いが、全然知らない業者を家に入れるよりはいいだろうと言ってくれて、頼むことにした。現われたのは、わたしが今まで会った人のなかでも一、ニを争ういんちきな雰囲気満載の慇懃な人物で、高そうな茶色のダブルのスーツに青シャツ、ループタイ、メッシュの短靴、部屋に入っても決して脱がないソフト帽を着用し、何も入っていなさそうな、凝ったなめし革の鞄を持っていた。みのもんたのように、不健康に日灼している。映画ならちょび髯を生やしているタイプ。誠に失礼ながら、こういう気障を絵に描いたような人が実在して珍しいので、瞠目した。
撮影にレンタルするとかで、古い茶箪笥、掛軸、茶道具などもってゆく。
午後七時すぎの新幹線に乗り、昨日新大阪で入手した赤星の本、中村智志『大いなる看取り 山谷のホスピスで生きる人びと』(新潮社)を読了して帰宅。