東京brary日乗

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ボレロの謎

ゆうべ送った書類の受領確認のメールを待って、午後郊外の家にゆく。途中、また傘をとりにゆく。
昨日修繕屋さんのホームページをみていたら、この前直してもらったほうの傘のビフォー・アフターが写真で紹介されていた。


夜、NHKハイビジョンで「名曲探偵アマデウスボレロの謎」という番組を面白く見た。アマデウスと名乗る名曲探偵(筧利夫)が、名曲にからむ事件を解決するという仕立てになっているが、これは単なる狂言回しで、実際の謎ときは専門家によるVTRで構成されている。
ラヴェルボレロが名曲であることは疑いもないが、まず最初に繰り返されるリズムと旋律についての基本的な解説がある。解説する人は千住明


しかし、面白いのはここからである。
ラヴェル自身は、「この曲は演奏法以外に何の創意もない」と言ったのだそうだが、その演奏法は創意だらけだった。たとえば、最初にソロをとるフルートは、フルートとしては最低音域が選ばれている。中盤、突如として現われるトロンボーンのソロは、この曲の最難関といわれていることをわたしは初めて知ったが、それはトロンボーンとしてはほとんど無理な高音域が用いられていることによる。
各パートについては、N響ソリストにインタビューをしているが、トロンボーンの人は「ちょっとやってみせる」ときもなかなかうまくいかず、玉の汗をかいていた。演目が「ボレロ」と決まるとため息がでる由。


その他、ファゴットも通常より2オクターブ高い。また、あるパートでは3つの管楽器がそれぞれ違うコードを吹いていて、パイプオルガンのような重層感が出る。弱音器をつけたトランペットのときは、ピッコロを重ねて音をシャープにしていた。クラシックではほとんど使われないサックスもソロをとる。


音を知りつくしている、とはこういうことかと感嘆するが、ボレロの魅力を知りつくしていたのは、かつて冬季オリンピックで、世界中の人がその演技を息をころしてみつめた、アイスダンスのトービル・ディーン組であることも間違いない。