東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

マジックアワー

ザ・マジックアワー」を観る。
公開前から怒涛のように三谷幸喜がマスメディアに登場していたので、そういうものは一切見ずにいた。どういう映画か知らないから、マジシャンの映画だと思っていた。チケットを買ってから、映画館のある建物で20分ぐらい時間をつぶして戻ってみると、窓の外には世にもうつくしいブルーが広がっていた。梅雨の合間の、日没直後の空と、海の色が同じ薄暮の青に染まって、向こうにレインボーブリッジがみえる。
それが「マジックアワー」だった。


○感想
・モチーフは(いろいろあるが)「スティング」である。
・現在の邦画において、オリジナル脚本で興行成績があげられて、かなり質のよいエンターテイメントであるという点で稀有。
・前回の「有頂天ホテル」より数段面白いが、本来大宣伝する映画ではない。そして、「ラヂオの時間」には及ばない。
佐藤浩市が出てくるまでの、若い三人の俳優による導入は相当に退屈である。一般に評価が低いらしい後半は悪くない。
佐藤浩市は「有頂天ホテル」ですでに眼を見張った。この映画において、この人なくして成立しないというキャスティングは、ほかに寺島進(ギャングの若頭)、小日向文世(佐藤演じる売れない俳優のマネージャー)である。伊吹吾郎もその次に重要。


帰宅して、「王様のレストラン」の最終回もみる。映画のプロモーションの一環としてスカパーで毎日やっていた。しかしそれとは関係なく、テレビドラマにおける三谷の最高傑作であることは揺るがない。松本幸四郎の芝居を見に行きたいと考えたことはないが、「王様のレストラン」のギャルソンは彼以外に考えられない。すばらしい。