東京brary日乗

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驟雨の池之端

brary2008-08-05

昼から上野の国立東京博物館に「対決−巨匠たちの日本美術」 展をみにゆく。今日のように荒れた天気の日は多少すいているかと思ったが、そうでもなかった。金曜の夜が正解だったかもしれない。しかし、こういう展覧会の常として、中に進むほど混雑は緩和されていたので、中盤からは比較的ゆっくり堪能できた。
対決というアイデアは面白く、わかりやすい。一人一人の点数が少ないので集中して見るし、中だるみのようなこともない。歌麿VS写楽に勝敗をつけるのはなかなか難しいが、わたしの見立てならば長次郎VS光悦は圧倒的に長次郎の勝ち。奇をてらわない赤楽茶碗の美しいこと、比類がない。


襖絵、屏風は離れて見てスケールを知る。ちょっと悔しいが、若冲の鶏の襖絵の大胆さは、上品下品を越えている。最後に展示されている横山大観の屏風絵は、金地にもくもくと雲がたなびき、強烈なコバルトブルー一色の、すぐれて図案化された富士が頭を出して爽快。


上野の山から学校まではさほど遠くないが、不忍池で驟雨に遭った。雨宿りをしようと弁天様のあづまやに駆け込むと、そこは藤棚だったので、傘をさしていても雨が激しくなるにつれて濡れる。目の前に広がる蓮池には、桃のようなつぼみがたくさん顔を出していたが、大きく平たい蓮の葉は雨を溜めては傾いて流し、生き物のように動き続ける。