東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

深川、秋の一日

学業に大いなる(あくまで精神的な)めどがついたのと同時に、週末二日間予定がない。しかも年明けにローマ人が帰還するしらせがあった。午前中は部屋をひとつずつ回って片付けをした。昨日は雨の予報だったから、最寄の図書館で調べ物をしようと思っていたが、昼から晴れた。風もなくあたたかい。せっかくなので、久しぶりに古石場の図書館にゆくことにした。


東京海洋大学の並木道はうつくしく紅葉して、すがすがしい気分である。しかし、古石場図書館は本日休みだった。しかも、澤登翠先生の活弁による映画会が開催されていて、始まったところである。だが、演目が前回と同じ小津安次郎の「出来ごころ」だったので初心を貫くことにし、さらに大きい深川図書館にゆくと、そこも休みだったのである。中央区では、同じ日に休まないので油断していた。


仕方がないので深川をふらふら流し、ミヤタアルマックスGを買った「自転車屋りんりん」の前にでたついでに、みてもらうことにした。9月の半ば過ぎから、遠くでかすかにきしむ音がして車輪が揺れ、かつての快適さをうしなっているような気がしていた。みてもらうと、車輪がゆがんでいるという。りんりんの人の話によると、駐輪場のせいでこういうことが起きるが、アルマックスは大事だから、アルコープの中に入れている。乱暴な運転もしていない。
夏の終わりの日、7キロぐらい(途中までは10キロぐらい)の本を積んで長距離を走行したせいと思われるのである。すまない気持ちでいっぱいになる。「できるところまで調整してみます」と言ってくださる頼もしいりんりんの方にアルマックスを預けたら、「代車」を貸してくれた。


深川八幡の公園で、出掛けにポストに入っていた古本を読もうと思い、手頃なおやつを探しに門前仲町に出る。すると、大通りの向こう側に古本屋のようなものがある。明るくて、感じがよさそうにみえる。分類がかなり微妙で、いろいろな本が混ざっている。しかし、どこにも興味がある。いかにも、というカラーはないのに、棚から離れられない。新しい棚はだいぶあいていて、隅から隅まで見た。値段も高くない。話をきくと、店は以前からあるとのことである。わたしは古本界にはぜんぜん詳しくないから、見過ごしていた。
店の名は朝日書店である。松尾貴史『業界用語のウソ知識』(小学館文庫)、土方定一『日本の近代美術』(岩波新書)など四冊買って出ると、アルマックスを迎えにゆく時間になっていた。りんりんに戻り、西日さす相生橋を渡って帰る。