東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

ひみつの宣言

朝、みじかい原稿を送る。
原稿料をくれるような媒体ではなくて、配布される範囲も限られており、図書館などに集積される可能性はほぼない。
しかも依頼された内容は、しごくステレオタイプな質問である。しかし、現在勉強をしているのは、こういう人たちからこういう質問をされるためであり、それに答えるためだったといってよいので、感慨がある。誰も読まないかもしれず、読まれてもたちまち忘れられるが、「小石の波紋」にはなる(ただし、まる一日経過しても受領の連絡がないので、没になったかもしれない)。
さらに、昨日は学校で、自分のしていることを公開する催しもあったのである。


わたしが考えているものごとは、地味で古くさく、硬くて巨大なので人気がない。かわりにもっと新しくてぴかぴかした、軽くて便利なものがある。建物でも鞄でも、機能的になる。新しくするたびに利権が発生するので、みんなそうしたい。前のものは好事家の手に渡り、単なるノスタルジーと薀蓄の対象になる。
私はそれが面白くない。つくった職人は、そんな贅沢品としてものをつくらない。しくみもつくらない。その合理性はシンプルなのに、古いといって無視したり、惰性でつまらなくしたり、余計な価値を上塗りしたりするのが気にくわない。過去のものであっていいが、正当な評価をしたい。


そのようなわけで、火中の栗を拾いにゆく決心をした。ここに至るまでに一年あまりかかったが、今週ははからずもそのような宣言デーをすることになったのである。