東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

センチメンタル・スタディ

赤坂で勉強の集まりがある。
集まりの中心の先生は、ある村でものを読んだ人について本をお書きになっている。わたしは不勉強で、まだそのご本を拝見していないが、才気煥発で知られる別の先生がすこし違う意見をのべた。先生はその意見をお認めになり、さらにご著書の結論は実はセンチメンタルなものである、とおっしゃった。


その村でものを読んだ人は、実は半分ぐらいしかいない。読まないほうの半分の人に迫れなかったことが、先生は残念である。そしてその村は、もうすぐなくなることになっている。それらが、先生をセンチにした。


しかし、センチメンタルになったことと、それをそうだと表明なさったことに、わたしはいたく感銘を受けたのである。言い訳のようでありながら、先生はセンチについて悔いていない。そのような「思い入れ」もまた、真実である。思い入れるようなことがらであり、研究だったことに意味があるのではないかしら。