朝、自転車に乗って京橋税務署にゆく。昨日も中央区と千代田区に用があって、同じ道を通った。昭和初期に建った新富町の正金アパートは、昨日も今日も入居者を募っている。世のある人々と同じく、正金アパートを借りて潜伏するさまなど夢想するが、世のほとんどの人々と同じく、さしあたり潜伏できない。
しかし家では大規模修繕工事が開始された。被いは網のようなもので光を通すのだったが、ベランダに作業の人が登場するため、昼でもカーテンを引いている。正金アパートにいなくても、潜伏の気持ちになることは可能と知るが、本来の関心は正金アパートであって、潜伏ではなかった。
「ぼくの近代建築コレクション」さん撮影による正金アパート