東京brary日乗

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商船学校の図書館

brary2009-03-24

今月中に進展させなくてはならない書きものがあって、ようやくドライブモードになったのに、地響きがする。家の大規模修繕工事は佳境である。カーテンは我慢しても、音がつらい。iTunesで自然の音をさがしてみたものの、ドリル音を打ち消すには大音量にする必要があり、たたかいに疲れた。
そして音を我慢したとしても、コンクリートづたいの振動が足から立ち上る。脚に蓄積したセルライトをもやす効果があるかもしれないが、勉強には適さない。


たくさん資料を使うのに、学校に行くのは負担である。近くの図書館はパソコンが使えない。どこかないかと考えて思いついたのが、江東区大学図書館だった。江東区は、区立図書館と区内の大学が協力関係を結んでいる。私は区民ではないが、江東区立図書館のカードをもっている。


候補は二校あり、いずれも家から近い。ひとつは最新式で、環境はいいと思われた。しかしもうひとつの図書館をみると、「どなたでも利用できます」と大学図書館にあるまじき鷹揚さである。閲覧だけなら紹介も必要ない。旧商船学校、東京海洋大学越中島図書館。運輸関係で見たい資料もある。WBCは岩隈のすばらしい好投によって終盤を迎えていたが、ブルペンの様子をみると、ベンチは藤川球児を出すつもりがない様子なので、ラジオを持って家を出た。


数え切れないほど前を通っているが、商船大学の中に入ったことはない。元々、三菱がつくった実業学校である。古いが硬派な感じの建物が並んでいて、守衛さんも鷹揚である。キャンパスは広くはないが、タワーのような研究棟もなく、おおらかな空気が漂っていて、すでに正解の気配がした。ようやくみつけた図書館(案の定目立たない)の前で、予想通りダルビッシュが同点に追いつかれるところまでラジオをきいて、階段をのぼる。


その図書館は図書室といって差し支えないほどつつましい。基本的に図書館が重んじられるような研究とは思われないので、質素なのである。カウンターのところには、大きな地球儀が三つある。窓があり、わたしが選んだ一番奥の席からは、ブラインド越しに芽吹く木々があわい緑をのぞかせ、その向こうにゆらゆら凪ぐ朝潮運河がみえる。時折、小さな船舶が通る。


作業には大きな進展があり、春休み中で五時で閉館になるのが惜しかった。自転車ならば10分。東京海洋大学までは、あるルートを使うと信号を通らずにいける。
野球はイチローのタイムリーで勝ったのを知ったが、藤川が出ていれば、図書館ですごす時間はもっと短くなっていた。原に感謝しなければならないかもしれない。