日食の月のしわざ
昼前ベランダに出ると、家の前の橋の上にいる人は全員空を見上げていた。
そのことが知らされていること自体は人為的であるが、誰にもどうすることもできない自然のことがらをみるために、少なくとも日本全国の人は上を向いている。わたしは下を向いてみたら、雨が降っているのに運河の水が今までみたこともないくらいひいていた。
岸部に沿った運河の端には、もう役に立たない棒杭が何本か不規則にささっているが、ささっている根元のところが露出している。タイヤの半分が泥の中に埋まっているのもみえた。しかしがらくたはそのくらいしかない。
引き潮はいつもそうなるのか、日食で月の引力が増すのかわからない。
日食ショーをやっている間に、朝作ったトマトと茄子のカレーを食べて遠征に出る。無事終えると心身の余裕があったので、そのまま自分の学校に行き、夕方から友だちに教えてもらった特別のゼミに出て帰る。