東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

知っているようで知らない世界

問題の鬼怒川合宿より帰宅。昨日は、バスの発着場所であるIWGP(池袋ウエストゲートパーク)に行くと、石田衣良長瀬智也も知らないであろう、ナイロンプリントの信玄袋をもったご高齢の人々が大勢バスを待っていた。バスは各方面に出る。
植え込みに腰をかけて柳田國男をひもといていらっしゃる先生を発見したので、お声をかけて、びっくりガードと馬力の話をしたら、先生が法政大学で教えていらした時分に牛込の堀端でいつもみかけた馬具屋の話をしてくださった。


問題の宿舎は、とあるグループが手広く経営している。建物を買い取って、同じシステムで運用していると思われる。宿はさして大きくはない。部屋は普通である。豪華では全くないが、清潔ではある。食事に高価なものは出ない。ひじきの煮つけ、サラダのような冷しゃぶなど。しかし私にとっては、これでもかと固形燃料攻めにされる温泉旅館よりありがたい。風呂は大変よい。
しかし、玄関ロビーに巨大な縫いぐるみがある。


夕食時大広間にゆくと、蝶ネクタイにオールバックのベンジャミン伊東のような人がやってきて、先生にカラオケを歌うかどうかきいた。むろん先生は歌わないが、わたしたち以外の客は全員その段取りを飲み込んでいて、じゃんじゃんリクエストしている。トップバッターは20人ぐらいの老人団体(老人クラブ旅行の場合、15名以上で5食2泊9500円!)からでて、「広瀬中佐」を歌った。カラオケにないので、アカペラであった。
続いて、恰幅のいいムームーのおかあさんによる「無法松の一生」、腰の曲がったおばあさんは浅丘ルリ子のデュエット曲をリクエストしたが、裕次郎役がいないので、ベンジャミン伊東がつとめた。


今朝は、わたしだけ先に帰る。
IWGPに戻るバスは11時に出るが、なぜか9時にはその会社が持っているバスターミナルに連れていかれてしまい、バスが出るまで大衆演劇を見ることになっている(無料)。大衆演劇というものを、初めて見た。国定忠治の外伝。オーディエンスは非常にすなおで、お茶目な役の下っ端やくざがおどけるととても笑うのだった。綾小路きみまろが大スターな理由は明白である。


バスの運転手は栃木なまりで客あしらいがうまい。
みなさんは安く楽しそうであり、私は勉強になった。
本田靖春『疵 花形敬とその時代』(ちくま文庫)読了。立川談志、年内の仕事をすべてキャンセル。久々にとれた9月の赤坂の会については、まだどうなるか決まっていない。10月には天神天満繁昌亭で、三枝とふたり会というすごい催しがあったのに。