それはすごいことなのに

自分でしでかした、思い出したくもない過去が、ついさっき起った。それは世界中の人が見ていた。今度はその録画を見せられながら、「期待していた」日本中の人に向けて、どうだめだったのか話さなくてはならない。自分の順番を待っていたときの心境をきかれたとき、ＶＴＲは切り替わり、完璧な演技をしたライバルの様子がモニターに映されている。

もちろん事前に簡単な打ち合わせをして、彼女は了解しているのかもしれない。夕方のＮＨＫで生中継した浅田真央のインタビュー。

普通の人間は、そういうことに耐えられない。たとえばごくささいな、５人ぐらいしか知らない「だめ」なことがあったくらいで、いちいち落ち込んだり、周囲に八つ当たりしたりしている。しかし、浅田真央さんはテレビカメラの前に姿をさらして、見たくないものを見、答えたくないことに答えている。耐えているのは、顔を見ればわかる。
彼女は１９歳である。すごい。