中勘助の横顔
私がふだん用のある場所は、①図書館②スーパー③ドラッグストア④郵便局⑤コンビニ(コピー)であるが、これらはちょっと歩くと出る交差点の半径50メートル圏内にある。非常に便利である。
今日も郵便局に行ってから昨日出た研究会でお借りした資料をコピーし、図書館にゆく。図書館では四方田先生の「ふたたび」にちなむミニ展覧会を実施中なので見た。区の図書館がコレクションしている木村伊兵衛、薗部澄の写真もまた出た。
図書館には『水曜日は狐の書評』に出ていた写真集があるのを調べておいたので、それもぜひ見た。
- 作者: 柿沼和夫,谷川俊太郎
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「狐」氏は中勘助の写真を絶賛している。一日みて飽きないと言っている。私はその写真二葉を見てひるんだ。一枚は左側の横顔で、白い顎鬚を伸ばし、手相見のような帽子を被っている。今一枚は右斜めからの伏目のポートレイトである。中勘助からイメージしたのは、たとえば琢木のようなナイーブな青年であった。しかしここにいる中勘助老は、世にこんな顔があるかと思う厳しい美しさである。この人に挨拶をしたならば、微笑んでくれるだろうが、どのような反応であっても私は自分を恥じざるを得ないと思われる。
アルベルト・モラヴィアがあり、フーコーがいて、セロニアス・モンクもいる。そのすべての人はカメラではなく何かをみつめていて、その最も厳しい一瞬を映した稀有な、見る者が試される写真である。