東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

江戸のバタビア

HV特集「闘う三味線、人間国宝に挑む」をみる。

文楽三味線奏者の鶴澤清治(62)。天性のバチさばきが生み出す切っ先鋭い音色で観客を魅了する。清治が東京の国立劇場で特別公演を開くことになり、その一世一代の大舞台に強く望んだのが、人間国宝竹本住大夫(82)との競演。長年共演することのなかった人間国宝に、清治は難曲「阿古屋琴責」で真っ向勝負を挑んだのだ。大夫と三味線が激しくしのぎを削る文楽の世界。最初のけいこから公演までの2か月を追う。(NHKホームページより)

剃刀のように鋭い清治と、太く力強い「年輪」のような住太夫。水と油のように相容れないが、異口同音に言うのは「相手に合わせてはいけない。歩み寄ったら自分の芸が死んでしまう」ということである。互いに譲らず、譲らないところではじめて起きるものに向かってそれぞれが葛藤する。緊張感にあふれる1時間半。


夜は「日曜美術館」で歌川国芳をみた。顔が何人もの人で構成されている有名なだまし絵を、実際にはだかの青年を動員してやってみていた。何より驚くべきは、国芳が西洋の絵画を自分の作品に模写していたことで、モダンな構図の忠臣蔵討ち入り風景は、バタビアの風景画の写しであった。バタビアの棕櫚の木は、松や吉良邸の塀にかけた梯子に写しかえられていて、奴隷を従えた裕福そうな人物は内蔵助に化けていた。
それは、神戸市立博物館の学芸員の人が、西洋の画集を眺めていて発見したのである。