名将なり岡田彰布
岡田彰布が阪神タイガースの監督を辞めることにした。
わたしは阪神タイガースのファンだが、ここ数年は岡田野球のファンである。就任一年目こそ暗く冴えなかったが、岡田の野球は面白かった。投手が右ならバッターは左、という定石はときにうるさく、2004年にルーキーの鳥谷(早稲田の後輩)を特別扱いするのはいただけなかった。しかし、意味のないことはしないし言わない。論をぶたず、戦法はきわめてシンプルである。
星野のようなパフォーマンスは一切しないが選手をよく知っていた。選手は何をすればいいのかよくわかり、それをして勝ってきた。誰もが何かというと褒め称える金本について、一切何も言わずにいるのは岡田一人である。「そんなん、いわんでもわかっとるやろ」ということである。
岡田の談話は日本語の文法にそむいていたので、常に各紙記者がカギカッコをつけて補わなければならない。しかしそれはあまりに面白いので、ヒーローインタビューよりも、勝利監督インタビューをむしろ楽しみにしていた。
顔は藤原寛美でも、岡田彰布は名将である。辞めるな、岡田。