家来の墓

法事をした。墓は寺の中にある。寺は別院だがなかなか広い。古くもある。
郊外の主が「家来の墓はまだあるかな」というのでついてゆくと、たいへん立派な墓がある。本人（戒名なので誰かは不明）の墓石は巨大で、両側に女子のお墓がある。先妻および後妻（または正妻および愛妾）と推定される。

それらを奥にいただいて、さらに二つずつ大きな墓石がコの字形に並んでいる。都合四本あるが、「家来之墓」と彫ってあるので、家来が入っていると思われる。その人々は一生どころか死んでも家来だが、家来のために立派な墓石を立てた主は立派なのかもしれぬ。