東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

銭は食えん

郊外の家で、瀬戸内の豊島の番組をみた。過疎化がすすみ、独居老人ばかりとなっている島で、惣菜店を開いた人がいる。店は家の軒先にあり、魚の煮付けや天ぷら、塩焼きなどを200円ぐらいで売る。容れ物は客が持ってくる。一人ぶんの食事を作るのが億劫な年寄りが、喜んで買いに来る。
祭の日、妻が動けないでいる老人が、大きなタッパーをふたつ持って開店前から待っている。ちらし寿司を詰めてもらって帰る。ちらし寿司は、惣菜店を営む人が自分で穴子をさばいてつくる。


腰が九十度に曲がった老婆は、たなごを買いに来た。大たなご三つくれと言って、店を営む人が「(大たなごは)100円高うなるよ」とさりげなく確かめると、「銭は食えん。高いのは構わん」と老婆は答えた。何と名言か。(そして店の人は大たなごなのに、高くしなかった)。