東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

今先生について

汐留のパナソニックミュージアム今和次郎展をみる。たいへん面白かった。
今和次郎考現学で知られるので、都市風俗のところばかり注目されがちだが、元は民家から始まっているので、田舎のことから採集している。まだ交通もさほどでない時代、実に全国を採集した。


美校でデザインを学んでいるのでデザイナーでもあるが、たとえ柳宗悦のような民芸運動とちがって、芸術とみなさない。はっきり合理性が大事で、気候にあった建築や贅沢でない工夫を好きである。


たとえば美しい収納のために規格化へ言及したり、食器の七割は冠婚葬祭用であると指摘したりしているから、時局にもあった。その全般にドライなセンスが、わたしは好きである。


そして今和次郎は永らく教壇に立ったが、演習はひたすら課題を模写させたのであり、彼が描くことをどれだけ大事に思ったかを知った。