東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

水辺の散歩

朝、ポストに入れる封書だけ持って水辺の散歩にでかける。
以前「秘密の花園」と呼んでいた、あらゆる植木鉢にあらゆる植物が尋常ならざる量で植わっていた堤防の横(しばらく前に統一縁台のようなものが設置されて雑な魅力が半減した「新・秘密の花園」になったが、どういう経緯で整備され、残されたのかはわからない)を降りて、地上のへりに沿ってあるく。


平日の朝の川は、仕事の船が通る。今日は土砂を積んだ大きな筏が河口に向かってゆくのをみた。船を運転している人が一人。ワイヤーで繋がれた筏の一番後ろの、切り株のようになったところにもう一人の人がいて、足を組んで坐っている。危険なところに不安定な姿勢で坐れるのは、その人のキャリアである。今日は涼しいので川風に吹かれて気分がよいのかもしれない。その人の仕事の時間の中で、そのときは「いいとき」なのかもしれない。船が過ぎてしばらくすると、堤防には波がぶつかる。


"パリ広場"から折り返して、大きな強い橋の下を通るとき、橋の影で変わる水の色もみた。橋桁にはいろいろなものが同様に付着していて、流れを遮る橋桁のせいでそばに渦ができる。昨日の午後ずっと、こころざしを同じくする二人の方々と濃密な雑談を交わす僥倖を得た。そこで話されていたことは、橋桁にそれなりの密度で形成されているものと渦に対してどのようにあり得るかということに違いなかった。
わたし自身ができることは、その先にひろがるもうすこし広い流れの中間ぐらいに石ころを放る程度のことであり、投げられたことは橋桁から眺めれば見逃されても仕方のない僅かな一瞬であって、ごくちいさな波紋は間もなく流れに消える。いくつ放っても、大して変わらないかもしれない。
しかし、そういうものであればよいのではないかと考えたので、家に帰って投げる石ころを拾うことにした。